インテリアアートの広がりから現代のアートブームについて

2021.09.30

今、若者の間でアートが人気

※ここでいうアートとは、世界的に広がりを見せるオークションによる投資目的のものや画商が扱う
高額のものではありません。線引きは難しいですが、もっと庶民的なものを指しています。

どこからが高額か?とかアートかイラストか?…などという難しい話は専門家の方にお任せするとして、
多くの人が手軽にアートを部屋に飾って楽しんでいるということ。

それはネットやメディアを通じてアートを目にする機会が増えたこと、ネットなどでもアートを手軽
に買える環境が整ったこと、アートを製作する人が増えたことが挙げられます。

そこには従来からある筆で絵を描く画家だけでなく、パソコンやタブレット、スマホを使って描き
上げるものも含まれます。

コロナ禍で家にいる時間が長くなり、少しでも家の中をいい環境にしたいと思うようになったり、
インスタグラムやYouTubeなどのSNSやオンラインによる打ち合わせなどで部屋が映る場合があり、
おしゃれに見せたいと思うようになっていることも一因としてあるように思われます。

ネットやメディアで一部のお金持ちが高額なアートを飾っているのを見て「いいな」と思い、高額で
なくてもアートを飾って楽しみたい、アートを飾るっておしゃれだよねとファッション感覚で楽しん
でいる人もいるかもしれません。

アートには心を豊かにする効果があり、アートを所有し飾って見るという高揚感は独特なものがあります。

外に出られず家にずっといて何かもやもやするなら、アートを飾るという選択もありではないで
しょうか?

「アートを飾りたいと思うがどんなものがいいか?」とよく聞かれます。

答えとすると「自宅で個人的に楽しむなら、自分が気に入ったものでいいのではないでしょうか?」
と言っています。
好みは人それぞれなので、自分がいいと思うものを選んでいただければと思います。

「どれが値上がりしますか?」と聞かれることもあります。

「お金が余っているならいいでしょうが、投機的な目的でアートを選ばない方がいいですよ。」
と言っています。

実際に上がるかどうかはわからないし、アートで儲けるより地道に働いて稼ぐ方が確実だと思うから
です。

これが個人宅ではなく、オフィスや施設の場合は話が変わってきます。

それは、投機のことが問題ではなく自分の好みで選んでいいかということ…

個人事務所なら好きなものでいいでしょう。また、社長室に飾るので自分の好きな物でいいという
場合もあるでしょう。

それが共有スペースであったり、多数の人が出入りする場所だったり、パブリックスペースであったり
する場合は自分の好みだけで決めにくいものです。
特に作家の個性が出ている作品の場合、余計好みが分かれてしまいます。
一流どころのアーティストである場合は好みを超越して納得させるだけの力があると思いますが、
そこまでではない作品だったとしたらどうでしょうか?

不安になってしまいます。

私どもは30年以上前からインテリアアートを扱っていました。
個人の方を対象にしていましたが、中には法人のお客様もいてよく相談されました。

インテリアコーディネーターのお客様は飾る物件をイメージして「こんな絵ない?」とか「こんなサイズで
イメージはこんな感じがいいんだけど…」と具体的に依頼してこられました。

そのコーディネート能力、イメージ力はすごいなといつも刺激を受けていました。

スキルを磨き、多くの作品ストックを頭に入れて、できるだけご要望にお応えできるようにしていました。

ただアート作品はそんな希望通りのものは都合よく揃っていません。
「もう少し大きかったらいいのに」という場合は額装でマット幅を広くして対応できましたが、「縦長を横長に
して」とか「こんなイメージの抽象画がいい」とか「色を明るくして」とかいう要望には応えられない場合が
ありました。

アートには作品を楽しむという目的以外にもインテリアとしてコーディネートする、空間に合うようにデザイン
するという役割もあるのだと思いました。

『アートデコ』の取り組み

我々はいくつかの素材(ピース)をアレンジし、デザイン額装した新しいスタイルのアートを完成させました。

雰囲気作りのためのインテリアアート

『アートデコ』選べるアイテムで、空間をより魅力的に

空間を演出するためのインテリアアートシリーズ
『アートデコ』の業務用カタログとwebカタログに
より、簡単にイメージのものが選択でき、魅力的な
空間づくりが可能になります。


『アートデコ』は、グリーンや布、和紙といった風合いのある素材を使った壁掛けパネルでインテリアとして
空間にもマッチしやすいのが特徴です。
手軽に雰囲気づくりができるため、ホテル、病院、老人ホーム、飲食店、モデルルーム、セレモニーホールなど
幅広い施設で利用されています。

居心地の良さが求められる施設の空間づくりでは、アートは重要です。
しかし嗜好性の高いアート商品はイメージの擦りあわせが難しく、扱いづらい商材でした。

そこで『アートデコ』は、300点以上もの豊富なアイテムが掲載されたカタログを利用することによって、
イメージに合うものが簡単に選べ、打ち合わせもより効率的に行えます。

サイズや色目、素材(ピース)もいくつかの種類を揃えていますので、多種多様なお客様の場に合わせたご要望
に対応可能となります。

アートデコは限定品ではありませんが、特徴ある素材(ピース)を使っています。
手作りの素材は作る度に少しずつ変化します。
そのためハンドメイドの生きた作品の風合いがあります。

また素材(ピース)は数量限定品ではありませんが、布やフラワーなど数年で新しいものに変わる場合が
あります。

これは限定品のアートの要素もあり、マンネリ化を防いでいます。

カタログで選んでその通りのものが欲しいというお客様の要望はあるのですが、一方でクライアント様の要望
として、どこにでもあるありきたりのものではなく希少性があった方がいい、少しでいいから他と違わせたい
という思いもあります。

せっかくカタログで選んでいただいたのに、廃番になってしまい他のものを選び直していただくこともあり
心苦しく思いますが、作品の質を上げるためにも全国各地から選び抜いた素材(ピース)を使用している
関係上、どうしても同じものを永遠に提供するのは難しいことです。
希少性のある素材に質の高いものが多いという現実があるためです。

アートデコは質にもこだわりながら、そんな市場要望のいいとこどりをした商品なのです。





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インテリアアートの広がり

昭和後期から平成にかけて、世の中がバブルといわれていた頃…

日本では空前のインテリアアートブームでした。

油絵などの絵画もオークションで日本人が落札するなどの盛り上がりがありましたが、ここではもう少し
庶民的なインテリアアートに絞ってみています。

リトグラフという技法による、サインとエディション番号付きの版画が広まり、皆が競って買い求め、作品
が足りなくなり争奪戦が繰り広げられていました。

人気の作家もいて価格も高騰していきました。バブル景気と連動して盛り上がっていたように思います。

当時は店舗での販売が多く、需要に合わせギャラリーが増えて買いやすくなりました。
通信販売もあったように記憶しています。

もともと日本には西洋画を飾る文化が無く、アートビジネスの市場規模は海外に比べて少ないといわれて
います。

日本家屋に壁がなく(あっても漆喰で額をかけにくい)障子、襖だったこと(襖絵は古くからあります)、
床の間に掛け軸をかける風習があり、季節によって内容を変えたり四季の移ろいを楽しむ文化が根付いて
いることも要因と思われます。

明治期からの西洋文化が流入したといってもまだまだ歴史も浅くなじみが薄い、西洋と違い風習にまで
溶け込んでいないのだと思います。

ですからインテリアアートのブームにより、広がりすぎた加熱状態がどこか不安に思えてなりませんでした。

バブルがはじけると同時にアートブームもだんだん下火になり、熱も冷めていきました。

すぐになくなったわけではなく、一部のいい作家の版画はその後も売れていたように思います。

そんな過去の記憶がよみがえるものですから、アートを単なるブームで終わらせたくないと思っていて、
一気にたくさんではなく広く長く根付いてほしいと思います。

アートにはそれだけの魅力と価値があると信じています。

それは芸術的な価値だけでなく、人の心を豊かにする価値を指しています。
値上がりを期待する投機的な目的ではなく、見て飾って楽しく豊かになることが価値として広がることを
願ってやみません。



最後にずいぶん前の話になりますが、少しだけアートに携わっていた時のこと…

イギリスではじまったポップアートがアメリカで花開き、新しい時代のアートを展開していました。

今では歴史の出来事として語られていることを同時期に体感した思い出があります。

社会人になりたてでしたが、社内製作のパンフレットにアートを特集した小さなコラム記事を書く機会が
ありました。

どんなテーマがいいかあれこれ悩み、自分が面白いと思う気に入った作家の紹介を書きました。

1990年2月の記事をご紹介します。
(現在では適さない気になる表現もありますが、当時の記事のまま掲載します)

WORLD ARTIST NEWS

KEITE HARING 
キース・へリング

       (画像出典元:Wikipedia参照)

1958年、アメリカのペンシルべニアに生まれる。

もともと頭の良い若者だったヘリングは、1980年22歳の時、地下鉄のプラットホームにある広告を覆う
ための黒い紙が絵を描くのに適していることに気づき、あちこちに白いチョークで描き始める。
顔のない男、輝いている赤ん坊、吠える犬、空飛ぶ円盤などのモチーフはユーモラスだが、彼の意図は
真剣なものである。
単純で明らかに低俗化した様式を用いて、彼は自身の世界観を表現し、性表現の自由を讃えながらも政治的
に右傾化しているアメリカの暴力や鈍感に反発し、異議を唱えようとしているのである。

ヘリングは自分の店”POP SHOP″も含めたアート感覚のギフトショップで、自分の作品に出てくるイメージ
がプリントされた小物や冷蔵庫のマグネット、Tシャツ、彫刻、葉書、版画、絵画、本等を次々と製作し、
それらは飛ぶように売れている。
そして彼が崇拝しているアンディ・ウォーホル同様、その大量生産されたイメージのいくつかが、彼の
芸術の要となっているのである。
例えば、光を放った赤ん坊、吠える犬、笑う三つ目ボタンなどがそうだろう。

ヘリングの作品を展示していたのは、主にソーホー地区の画廊である。
彼は1985年にホイットニー・ビエンナーレで成功をおさめ、80年代の初期に第一線に踊り出る。
その同時期の作家に、ジャン=ミシェル・バスキアがいる。
バスキアはドラッグ中毒により1987年にこの世を去っているが、ヘリングとバスキアはお互いの作品を
評価し合い、友情の花を咲かせていた。
そして今、ヘリングもエイズによって身体の衰えを見せている。

吠える犬

追伸

1990年2月16日午前、キース・へリングはニューヨークのダウンタウンのアパート自室で、エイズの為
死亡した。
このニュースは上記の記事を書き終えた時に私たちは知った。へリング、31歳の時だった。
また一人、若くして重要なアーティストを失ったのは残念なことである。




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