壁面・自立看板の開発物語

目次

壁面看板開発の歴史

商品がポスターパネルしかなかった1993年、看板屋さんに飛び込み営業をしたのですが、箸にも棒にもかからず門前払いの連続でした。看板屋さんとは相性が悪いと思い、それ以降回らなくなっていました。

1997年アルモードカタログvol.1を発刊し本格的に業務用カタログ通販を展開し始めた頃、アルモード商品はサインディスプレイ業界の店舗設計業者さん、ディスプレイ業者さんで採用いただく機会が少しずつ増えてきましたが、まだまだ得意先は少なく都市部が中心でした。地方では資材問屋さんや一部の店舗設計業者さんとの取引がありましたが十分に回れず、開拓できていない状況でした。

全国どこでもあって、安定的に仕事をこなしている業種はないかと探していた時、思い浮かんだのが看板屋さんと建設会社さん、工務店さんでした。建設会社さん、工務店さんは住宅やビル、建物躯体、土木工事をやられているところが多く、私どもの商品を扱っていただける範囲は少なく見えました。

看板屋さんは以前相手にされなかった苦い経験がありダメかと思いましたが、看板屋さんの商売も知らずに屋内用のポスターフレーム商品だけ持って行って、扱ってくださいと言っていたのが問題でした。

商売に合ったものなら扱ってもらえるんじゃないかと考え直しました。看板商品を開発してほしいと会社に嘆願して何とか承認してもらいスタートしました。

もともとアルミのフレームは得意な方でしたから、壁面看板からスタートしました。アルミ複合板の登場とインクジェット出力の普及により看板業界が変わる転機が訪れ、看板のデザイン革命が起きるだろうと予想しました。グラフィックで様々なデザインを施すことが可能になり、看板本体もかっこいいものにした方がいいと思ったからです。

ちょうどアルミ複合版が看板素材として出始めた頃で、いち早く目を付けアルミフレームと組み合わせた看板商品を開発しました。

コーナーがアールで面板の差し替えができる小サイズ用の630。

ベースフレームにアルミ複合板を取り付け内側から壁面にビス止めしてカバーフレームをかぶせる、現在の2パーツ式ビルボードの原型となった641と同じ構造の中サイズ用632。

632と同じ仕様だがアルミ複合板を段違いで取り付けて使える構造にし、広告出力を上貼りして何度も使えるポスター仕様にした大サイズ用633。

「ビルボード」3種類の商品を1999年発刊のアルモードvol.2に掲載し、販売を開始しました。

中にはシンプルでいいとか、斬新でおもしろいと言っていただけるところもありましたが、なかなか思ったように取引につながらず苦戦の日々でした。今までと違うやり方をしたくないという方も多くおられます。「看板屋は材料から加工することで儲けているんだ」と言われることもありました。

当時看板屋さんは、木材の垂木を切って組み立てペンキを塗ってトタンを巻いて看板を手作りされていて、看板製作も稼ぎの一部だったのです。

お店の外観や景観に合わせてデザインして、かつキャッチや集客を図らなければならないので、技術的にも仕事量的にも大変な仕事です。少しでもその仕事のお役に立ちたいという思いはなかなか届きませんでした。それでも諦めずに飛び込み営業で全国を行脚して回り、看板商品を紹介して回りました。

2代目を継いだ若い社長さんやデザインのわかる方などが評価してくださり、看板屋さんにも少しずつアルモードのファンが増えていきました。

色々販売して看板屋さんのお話を聞き冷静に考えた結果、売れない一番大きな問題は商品が的を射ていなかったということでした。この商品はアルミ複合板をセットし組み立てた状態での販売のため、大きいサイズになると輸送コストが高くなり現実的には中サイズまでした使えない代物でした。

もう一度原点に返ってどうすればいいか一から考え直しました。

第1ターニングポイント

普通の看板屋さんならアルミ複合板は常時在庫しており、看板や案内用によく使う資材になっていたので、ビルボードは面板を付けずに枠のフレームだけで出荷できるようにしました。そして枠を組まずにキットで出荷する形態を考案。建材のノックダウン仕様です。

この仕様は当時業界にもない商品形態でしたので、看板の基本スタイルにしたいと考え、名称を「組立キット」と名付けました。あらかじめご依頼いただいたサイズにカットしたフレーム材の商品を出荷し、看板屋さんで組み立てて用意してもらった面板を取り付けて完成させる商品にしたのです。

フレームをシュリンクパッケージして発送するので、輸送コストも抑えられ、納期も早くすることができました。このスタイルは加工や組み立てを得意とする看板屋さんの商売に合っていました。組み立てや面板製作、取付など得意とするところで稼げるからです。

さらにもっと使いやすい手ごろな商品も考えました。垂木にトタンのベースにアルミのLアングルを回した、当時主流の一番多く使う看板の代わりになるような商品として開発した631です。

631 S KK キット内容
631 S KK 組立時

631は細くシンプルでコストを抑えた商品にするためにベースフレームを省略し、Lアングルで取り付けるようにした画期的な商品です。

631 S KK/631 K KK

2001年発刊のアルモードvol.3に掲載し、本格的に販売を開始します。

新たに開発した幅20㎜細身のワンパーツフレーム631の登場で採用していただける看板屋さんが増えていき、だんだん看板屋さんとの取引が広がっていきました。矢継ぎ早に631をもっと簡易にしてコストを抑えた639を開発、コーナーを留切りとアール部材の両方から選べるようにしました。

639 C R KK キット内容
639 C R KK 組立時
639 C V KK キット内容
639 C V KK 組立時

639は4㎜のアルミ棒材での販売も行うことにしました。

639 C BB

短納期とはいえ自分の所でカットしてすぐ使うスピードにはかないません。カットが可能な看板屋さんで使われています。ベースとカバーフレームの構造を進化させた平角の634、ハーフパイプデザインの635を開発、のちのベースとカバーフレーム2パーツ式ビルボード640、641へと引き継がれていきます。

640 S KK 組立時
641 S KK 組立時

2002年発刊のアルモードvol.4に掲載して広めていきました。

第2ターニングポイント

大サイズ用に強度のある骨組み看板フレームを開発する

サイズが大きい看板は鉄骨看板が主流です。L型の鉄骨材をカットし溶接して組み上げる鉄骨看板は強度を必要とする大サイズ看板には必需品で、専門に加工する大きな看板屋さんもいるほどです。

専門で加工しているところは別として、街中の看板屋さんでは鉄骨を溶接して塗装して作る看板は広い場所、溶接工の職人が必要となり、時間もかかります。

できればもう少し簡易なアルミ看板でできた方がいいに違いないと考えました。大サイズにも対応できる骨組み看板を開発しようと思いました。アルミのフレーム看板を使っていただいている看板屋さんから表のフレームがないフレームレスの看板が欲しい、両面使える看板が欲しい。などのご要望が寄せられていていたので、合わせて開発しようと考えました。

673 C KK

単純にアルミの角材でもいいのですが、設計上機能性を持たせることもできるので、中残のジョイントを取り付けしやすいようにし3㎜アルミ複合板を載せて使える受けもつけてシンプルに設計しました。

軽量で簡易なタイプの670と強度のあるがっちりタイプの671、2種を用意し、組立キットでの出荷商品と4㎜棒材での出荷商品にしました。2003年「土台フレーム」の誕生です。

670 C KK 組立時
671 C KK 組立時

この土台フレームには中残やコーナーパーツ、ジョイント金具、取付金具、アングル取付金具などのパーツや化粧用カバーフレームなど様々な看板パーツも取り揃えて、加工を主体とするプロの看板屋さん向け商品として充実させました。

ジョイントL金具22W
直ジョイントパイプ金具/直ジョイントパイプ型材
6645 S V KK/6645 WD V KK

取り付けスタイルも突き出し、吊り下げ用パネル受け金具、自立柱も用意し看板として設置する方法にほぼ対応できるように充実させました。

W型壁付金具セット
ロングアイボルトセット
591 C KK/591 DB KK

2006年さらに強度アップした673を開発。

673 C KK キット内容
673 C KK 組立時

片面仕様とし、アルミ複合板の受けを表側だけにしました。受けが邪魔になる場合があり、裏返せばフラットなフレームの上にアルミ複合板を載せてセットすることもできます。

第3ターニングポイント

看板屋さんの仕事をお聞きして商品を開発してきましたが、看板の将来を考えてもっと面白い、もっとインパクトのある看板を作れないかと知恵を絞って考えました。

造作で作られている看板をシステマチックに、鉄骨、溶接の看板をアルミでできるようにする。2006年そんな理想から開発したのが「立体看板」です。

立体看板は角地の外巻き看板ができる仕様。2方向からキャッチを取れて、立体的に看板をデザインすることができる効果的な看板です。グラフィックデザインを活かすことのできる看板でした。

立体看板は内照式の電飾タイプもあり、正面だけでなく側面も光らせることができる物でした。夜の店頭では圧倒的に存在感があり、賑わい演出効果抜群の物でした。

立体看板は使っていただけるところもあったのですが、溶接造作看板になれた看板屋さんには使ってもらえず、派手な看板自体が少なるのと合わせて縮小していきました。2012年惜しまれつつ販売を終了しました。

立体看板を発売するのと時期を同じくして看板全体をトータルで品揃えし、便利でスマートな仕組みを作り「看板システム」として発表しました。

看板屋さんはいつも忙しく、ばたばたされていて大変だなと感じていたので、もっと簡単に、もっと便利に看板を製作できるようにしたいと様々な商品を開発してきました。

その集大成として看板をシステムでとらえて加工の一部を私どもで請け負い、組み立てと面板製作、仕上げ、取付の行っていただき効率よく仕事をこなしてほしいと考えていたのですが、看板屋さんの仕事は多岐にわたり、依頼されるクライアントさんや元受け業者さんの指示を勝手に変えることができず、どうしても今までの造作をやめることができない状況でした。

なんでも近代化すればいいということでもないので、これは致し方ないことです。我々も無理に仕事内容を変えようとは思いませんでした。水は低きに流れる。自然に変わらないのは内容がいまいちだからなのです。看板システムは看板屋さんの仕事を大きく変えるまでは至りませんでした。

ただこれまでに開発してきた個々の商品は今でも使っていただいています。

640 S KK 1820×910
533 BE KK B1

ビルボード看板のフレーム組立キットは発売から20年以上、土台フレームは約19年変わらず使い続けていただいております。私どものアルモード看板は全ての看板屋さんにお使いいただいているわけではありません。クライアントさんにちゃんと提案することができる、どちらかというと質の高い仕事をしっかりされている地元でも有力な看板屋さんが多いように思います。

そういう看板屋さんに巡り合えたこと、今までお付き合いさせていただけたことは本当に幸せだったと思います。1993年全く相手にしてもらえなかった頃から28年、看板商品を開発し再び看板屋さんを回り始めてから22年の月日がたちました。

これまで看板屋さんに寄り添った商品開発を行ってきました。時代とともに世の中の情勢は変わっていきます。アルミ複合板の登場とインクジェット出力の普及が転機となり看板業界も変わりました。LEDの登場も電飾看板には大きな変化でした。人手不足、職人不足も深刻な問題になってきます。

これからも時代の一歩先を見つめて、役に立つ商品を作り続けていきたいとおもいます。

ベルクがディスプレイフレームを開発した理由

345 NA A1×3/E60 K KK 1820×910

アルモード商品全般に言えることですが、商品を開発する理由、それは「世の中をもっときれいに、もっと便利にしたい。」そんな単純な願望が根底にあります。世の中を良くするために我々にできる技術とデザイン力で商品化し、提供していく。社会の役に立ちたいそう願って日々開発に取り組んでいるのです。

ディスプレイ業界には、ハッポーパネルにドライマウントの貼り込みをしてコの字のアルミフレームをまわし、パネル仕立てにするスタイルがあります。現在でも展示会や短期のイベント、ショールームなどでよく使われています。ポスターも昔は掲示板に画鋲でピンナップするか、ハッポウパネルに貼り込んで、コの字フレームをまわして使われていました。中には壁やガラスにセロテープで貼っているものも普通に見かけました。

そこで我々は、ポスターをもっときれいに掲示できないか、店舗やオフィス、街中をもっときれいでスマートにできないかと考え、「フレームクリエイト」としてポスターをフレームにセットするスタイルを世の中に定着させるために、まずポスターフレームを開発しました。コの字のアルミフレームは安くていいのですが、見栄えからすると安っぽく感じ、シンプルだけどおしゃれなフレームがあってもいいのではないか、化粧フレームとしてポスターをセットする概念があってもいいのではないかとポスターフレームにデザイン性を持たせました。

334 S B2
333 S B2

今から30年近く前のことです。ただ単に意匠感を良くするだけでなく、セットするのが簡単にできるように機能性も同時の持たせ「オシャレ楽々アルモード」のキャッチフレーズで展開していきました。

ハッポウパネルにセットする業者さんやお客さんの中には、コの字のアルミフレームではなく少し体裁のいいフレームにしたいという方もいて要望が寄せられていました。

今ほどインクジェット機器が広がっていない頃、プロラボと呼ばれる業界があり写真を中心に高品質にプリントしたり、大きいサイズにプリントしたりするサービスを展開していました。そういう業者さんに我々は化粧枠としてのアルミフレームを提供していました。

様々なデザインのアルミフレームを持っていたのでご要望のサイズで受けていましたが、もともとB1ぐらいまでのサイズを想定して作っていたので、強度的にも弱くセットするにも簡単にはできないものでした。

そこで看板フレームを開発したのと時期を同じくして、屋内のディスプレイパネル用に化粧フレームを開発することにしました。

化粧フレームですからデザイン性が必要です。私どもではアルミにシートを巻くラッピング技術がありましたから、木調のフレームをバリエーションに加えシンプルなデザインに仕上げました。機能性も必要だと考え、パネルがセットしやすいものにしました。

536 S KK/536 WD KK/536 K KK
530 S KK/530 BE KK/530 K KK

一番のポイントは、看板フレームで採用したノックダウンスタイルの「フレーム組み立てキット」というスタイルにしたことです。パネルはお客さんの方で用意してもらい、我々はフレームのみを組み立て簡単な枠のキット材として出荷するというスタイルです。

530 S KK キット内容

これはお客さんにとって様々なメリットがありました。一番は納期です。組み立てをせずカットしてキット材で出荷するので、ご注文の翌日にはご要望のサイズで出荷できます。お客さんは先にパネルに貼り込み作業をして準備することができるので、急ぎの案件が多くあったお客さんに大変喜んでいただきました。

そして価格です。パネル部分がない分、出荷する際の荷姿がコンパクトになるので非常に手頃な価格で提供できました。

2002年、こうしてディスプレイ用のフレーム「ディスプレイフレーム」が誕生したのです。

もともとハッポウパネル用中心に開発しようとしていましたが、ちょうどその頃アルミ複合板が普及し始めていました。

看板フレームでは3㎜のアルミと樹脂の複合板を面板にする商品を開発していたので、3㎜アルミ複合板にも対応できる大サイズ用のフレームも開発しました。裏からパネルを抑える方式で3~9㎜の厚みに対応できる機能性に優れたアイディア商品です。手前味噌ですがうまく考えられているなと今でも感心します。開発メーカーならではの商品だと思います。

533 BE KK 組立時
厚み調節金具

他にはない独自の分野を切り開くフレーム専門メーカーとして、ディスプレイフレーム開発から20年もの長きに渡ってお客さんに支持いただいているロングセラー商品です。今ではインクジェット機器が進化を遂げ、看板業者さんでも皆さん出力されています。

そんなパネルにディスプレイフレームが化粧枠として今も使われているのです。


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